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現実のビジネスでは、知財への過度な期待は禁物です。知財は企業の経営にとって特別なものではなく、あくまで投資の一つとしてとらえるべきなのです。
設備や人材への投資でも、すぐに効果が出るとは限りません。投資とは費用対効果のなかで適切に判断していくモノです。知財だけに短期的な成果を求めるべきではないと思います。
……(中略)……
やはり、中小企業の場合、知恵をもうひと捻りして、「結局、何が一番大事なのか、何を守りたいのか」といった本質を見極めるべきではないかと思います。
「何を守るのか!」ここのプロセスが非常に大切です。例えば、「貴社の商品やサービスが選ばれる理由は何か?」ということです。そこから離れないことが重要です。選ばれている理由がその企業の強みの部分なのですから、自社の強みを客観的に分析したうえで、そこに知財活動を集中していくべきなのです。
……(中略)……
「こういうモノを作るのだ!」という強い意志があって開発を進める。つまり、発明があるから事業が始まるのではなく、意志に基づいて生まれた発明だからこそ事業で生きるのです。どこかで余っている発明を買ってきたとしても、そこに企業の魂が込められていなければ、事業展開で生じるさまざまな課題には対応していけないということです。
--精神論ですね。
これは重要ですよ。企業は人が動かすものです。精神論なくして「知財の理屈」だけで事業は成り立ちません。
中小企業の経営者は、こういった精神論を含めた生身の事業と日々格闘しているわけですから、法律の理屈や数字を羅列した知財戦略を語るだけではとても通用しないと思っています。
「発明」6月号、特集 知財論談 (土生特許事務所 所長・弁理士 土生哲也氏)